私は北欧を代表する家具雑貨小売店であるIKEAのキッチンにとても興味があります。というのも「IKEAのキッチンの供給システム」言い換えると「IKEAのキッチン部品を選択し、組み合わせ、購入して、施工する」という手法に、今までの日本では存在しなかった(と思われる)建築の設計および施工プロセスの可能性があると考えているからなのです。材工一括ではなく、商品の価格つまり材料費が明確になれば、その分、人件費も明確になります。ちょっと難しく言うと、日本の建設業界特有な「重層下請け構造」や「不透明な価格体制」を打破する可能性がある試みだと理解しているからなのです。
ちなみに私は、ニューヨーク州登録建築家ライセンスと日本の一級建築士資格を持ちながら、東京都文京区で建築設計事務所を営んでいます。同時に大学教員の研究活動の一端として、国ごとの設計情報作成プロセスの違いや、サプライチェーンの違いを扱っています。IKEAキッチンのように、極端にモジュール化した商品を組み合わせて作る方法は、今後キッチンを超えた範囲で、日本の建設産業に適用可能なのではないかと考えています。
とある改修プロジェクトで、実際にIKEAのキッチンを設置したので、今回は発注から取り付けまでの流れについてお話ししたいと思います。なお、このブログには前編となる(IKEAのキッチンのメリットとデメリットについて)がありますので、よろしければ続けてお読みください。難しいことは抜きにして、純粋にIKEAのキッチンの購入・施工されたい方への参考情報になればと思います。
IKEAのキッチンの最も大きな特徴は材工分離
IKEAのキッチンの最も大きな特徴は、買い手(発注者)が部品単位で積み上げてキッチンを購入することです。また、組み立てて設置する専門の職人さんもIKEA経由で手配することができますが、この費用は別途です。つまり、材料費と工費が明確に分離しているのです。そこには不明瞭な値引きも増額も一切ない明朗会計です。この点、とても重要です。
IKEAキッチンを前提に設計
今回の改修プロジェクトでは、お母さまが現在お住まいの建物を改修して住みやすくすることが前提となっています。現在、日本と海外とを行き来する生活をされているお嬢さま2名が適宜、方針決定のサポートに入ることで、設計とモノ決めを進めました。
まずフロア全体の平面計画と改修後の床と天井レベルを前提に立面計画を進めました。キッチンの大まかな設置位置や寸法などについての確認後、さらにIKEA製品を前提に進めることで承認をいただきました。
IKEAのウェブサイトには、キッチンを3Dでプラニングする IKEA Home Planner 3D ツール があり、そこで計画案を3次元化しながら確認することができます。今回はツール上で、キッチンエリアのみ最低限の状況で再現することを試みました。
IKEAで打ち合わせ(1回目)
設計図をもとにIKEA Home Planner 3D ツールによってキッチンの3Dパースイメージも作成し確認していただきましたが、実物に勝るものはありません。実際にIKEAに出向き、施主(お母さまとお嬢さま)とともに実物のキッチンを見ながら打ち合わせをしました。
事務所メンバーの萩原がキッチンの詳細を説明しています。私自身ひとり暮らしや単身赴任経験があり、調理へのハードルは低い方だと自負しているのですが、このように女性同士で話し合われている様子からは、当事者意識の強さからもくる説得力の強さをいつも実感します。
蛇口も何種類か展示されています。IKEAブランドとして海外から輸入した商品を、日本水道協会認定品としてJWWA規格を取得し販売しているそうです。価格も抑えられていますが、IKEA製品限定となると、どうしてもその分選択肢が狭くなります。浄水器を別途設置するのではなく、水栓金具に浄水器カートリッジが組み込まれている商品を希望されていたので、水栓金具を別途選択して取り付けることになりました。
キッチン天板の素材や高さ、キャビネットの配置について、確認しています。この日は、ステンレス仕上げの天板を気に入られて、その方針で進めることになりました。天板高さは87㎝と92㎝の2択なのですが、小柄なお手伝いさんが調理されることも考え、87㎝を選択されました。
ステンレス天板の下は、白いシンプルなキャビネットをご提案しました。床材として床暖房対応のメープルのフローリングサンプルを持参し、その組み合わせを確認していただいています。ちなみにメープルは、床暖房で加熱することによって伸縮変形しやすい樹種だと聞いたことがあったので、フローリングメーカーを注意して選定しました。IKEAで手に入るステンレス天板では、ヘアラインか、エンボス仕上げがありました。
手垢の付き方も、ヘアラインとエンボスで異なります。長年なじんだやり方から、改修工事後は採用した素材に適したおそうじ方法へという、生活習慣のアップデートも必要となってきます。
キッチンについて、おおよそ概要が決定したので、再度設計案の詳細を詰めることになりました。
設計案の修正
どのような施主にも当てはまることですが、実際のキッチンをご覧いただくと、使い方や素材について、さまざまなお考えが浮かばれるようです。ステンレス製であった天板を人工大理石製に変更すること、および、背面に吊戸棚や小さな椅子を置くことができる空隙を作ることなどのご指示をいただきました。
キッチンのシンクでは、深鍋が洗えるようにある程度深さがあること、および、ダブルボウルではなくシングルボウルとして大きく使うこと、を前提に設計を進めていました。日本では一般的に、耐久性・防汚性・防錆性の点から、キッチンのシンクとしてステンレス製が使われますが、IKEAには陶磁器製のシンクが装備されています。前回、施主にIKEAにご同行いただいたとき、はめ込み型シンクを気に入られていたため、天板の変更に伴って、陶磁器製はめ込み型シンクを採用することになりました。
様々なご要望による追加変更によって、IKEA Home Planner 3D ツール 上のキッチン設計情報を更新します。価格もやや上がっていることが確認できます。
実はこのIKEA Home Planner 3D ツールで優れているのは、「3次元イメージとしてキッチンの外観を確認できる」ということのほかに「自分の選択したすべての商品の詳細(商品番号、商品名、価格)と合計金額などを確認できる」ということがあります。キッチンのトータル金額とイメージを表示するツールは世の中にたくさんありますが、各キャビネットの部品にまでさかのぼり明確に数量と価格を提示するものは、ほとんどないのではないでしょうか。追加変更によって発生した価格の変更金額が、明確に分かります。
実際にIKEA Home Planner 3D ツールを使用して、全ての商品がこのツールに反映されているわけではないこと、さらに、必要なパーツがすべて表現されているわけではないこと が分かりました。出来合いのセット商品を並べるだけであれば十分なツールなのかもしれませんが、細かい仕様の変更は困難です。しかしながら、ほぼ正確なキッチンの大きさが確認できることと、おおよその価格が確認できるという点では、評価できると思います。
ようやく、ある程度キッチンの詳細が決定できたので、あらかじめ予約を取ったうえで、IKEAキッチン担当の方と打ち合わせをすることになりました。
IKEAで打ち合わせ(2回目)
IKEA Home Planner 3D ツールは、ある程度の設計段階までは実用的です。しかし細かい製品図や発注用の詳細見積作成は、IKEAのキッチン担当の方に作図や資料提供をお願いする必要があります。施工を担当していただいているヤマキの田井さんにもご同行していただくことになりました。
各部品を一つ一つ説明していただき、数量を確認していきます。カタカナの商品名で、セットとして数量を数えるものと、一つ一つ個別に数えるものがありとても混乱するのですが、IKEA担当者の方から、丁寧にご説明いただきます。
IKEA担当者の方のお話によると、詳細に打ち合わせる必要があるため一日最大5組との打ち合わせが限度とのことでした。土日祝日は混むのですが、通常は一日2組程度ですとおっしゃっていました。
IKEAのキッチンの組立・取付にあたり、適切な位置に給排水管を立ち上げ電気配線を準備しておく必要があります。ウェブサイトからだけでは、施工詳細についてほとんど情報が得られないので、このように対面ですり合わせをする必要があります。施工に関するすべての情報をウェブサイトに掲載することも可能なのかもしれません。しかし、IKEA側にとっては、「逐次情報を更新することが面倒」、「素人の方に要らぬ誤解を与える」、「店舗に客を呼ぶインセンティブがなくなる」、といった点から掲載しないのかもしれません。。。
興味深かったのは配送サービスについてです。IKEAでは、こうして購入した商品を配送した場合、配送料は一律3,000円となります。つまり、トラックいっぱいに商品を詰め込んで運んでも、小さい部品を運んでも、一律3,000円なのです。ちなみに大型の天板を運搬する場合など、施工場所に商品を搬入できるか確認するため搬入下見が必要になる場合がありますが、その場合も、3,000円かかるそうです。
キッチンの組立と設置は、施工者自身で行うことも、IKEAにて手配することも可能です。東京では、マニックスという名前の、IKEAキッチンを専門に組み立てている業者さんが担当しているとのことでした。DIYで改修を行う場合、説明書を読めば、ある程度素人でも組み立てられるそうですが、ガスや水道のつなぎ込みは、専門工事業者の方が行う必要があります。
今回の改修工事元請の田井さんによると、以前IKEAのキッチン組み立てを大工さんに任せたところ、説明書を見ないで組み立てる傾向があり、結局2人工で4日間を要してしまったそうです。今回の改修プロジェクトでは、その反省もあり組み立てはIKEAに発注することを前提としていましたが、天板の納期が遅れることや、組立業者手配時期の確定が難しいことから、結局付き合いのある職人さんに組み立ててもらうことになりました。
上の写真は、シンク下のトラップの写真です。IKEAの担当者の方に、IKEAキッチンと日本製キッチンの大きな違いをうかがったところ、排水用トラップ形状が異なることを挙げられていました。写真で見てもわかる通り、シンク下ですぐに横引きされています。日本のキッチンに慣れた方からは、排水の流れが悪いと指摘を受けることがよくあるそうです。
前回の打ち合わせ後、天板が人工大理石に変更になりました。白いキャビネットに対してグレーの天板を希望されましたが、白/グレーでも何タイプかあります。結局写真中央の薄グレーを選択しました。
食洗器に同じ面材を取り付けることで、よりキッチンとしての一体感を出すことができます。打ち合わせ時点では60㎝幅の面材取り付けタイプの食洗器は在庫がないことが分かりました。いずれにしても食洗器は後付け可能なので、新製品が納入され次第、発注・納品することになりました。
IKEAで打ち合わせ(3回目)
一度発注したら、キャンセルはできません。特に天板は注文された段階で個別に加工するため返品がききません。そのため、2回目の打ち合わせから2週間後に再度図面確認を行い、その場で発注することになりました。
各部品の数量確認とともに、施工方法についても確認もしました。IKEAのキッチンでは、キャビネット背面に固定用のレールを設置する必要があります。例えば、ベースキャビネットは、壁に厚さ15㎜のレールを設置した上で、キャビネットの側板に金物で固定します。
このような設置方法は、ベースキャビネットのみならず、吊戸棚でも同じです。壁面にレールを取り付けたのち、キャビネットの側板に金物で固定します。
IKEA製キャビネットの特徴として、背板がボール紙のような製品でできていることがあげられます。安くできるところは、できる限り節約していることが分かります。日本製の一般的なキャビネットの場合、背面に骨を入れたり強固な素材で作ったりして、キャビネット背面を壁に直接据え付けるため、このようなレールは必要となりません。IKEAの場合、背面の素材が弱いため、MDFボード芯の側面に固定する必要があります。
レールを流して据え付ける方式のため、ベースキャビネットでも吊戸棚でも、レールがむき出しになることを隠すための側板が必要となります。上の写真では、ベースキャビネット右側の端部が、側板によって隠されていることが分かります。天板のサイズも、ベースキャビネットだけでなく、側板の有無も含めて確認する必要があります。
こうした取り付け方法についての解説は、ウェブサイトからではなかなか分かりません。直接打ち合わせをして、実物とともに確認することでようやくわかることです。
これを機会に、オーバーシンクと天板との取り合いも確認されました。どのようにシールを施工するかについても、確認します。
IKEAに限らず一般的に、人工大理石の天板は、人が見えるところにだけ仕上げ加工がしてあります。つまり、ベースキャビネット側となる天板の下面には仕上げ加工がされていません。今回の改修プロジェクトでは、天板を下から見上げることがないので、そのままでも問題ありません。
ちなみに、キッチンエリアには、こうした子供の遊び場があります。親が打ち合わせに没頭していても、子供が自分で遊んで時間をつぶせるようになっています。こうした客の立場に立った配慮は、大切ですね。
ついに現場に納入
発注からおよそ1か月後、商品が配送されました。見積書通り、ばらばらの箱に入っています。工場で組み立てられたキャビネットを搬入するのではなく、現場で一つ一つのキャビネットを組み立てます。
事前にIKEAにて打ち合わせした通り、給排水配管や電気の配線は準備済です。
現場での組み立て
まず箱を開封し、一つ一つの部品を確認していきます。発注した通りに部品が入っているのか、発注した通りの部品で問題なく組みあがるのか、確認しながら組み上げます。
今回は、資料をしっかり読み込んで丁寧に組み立てていただける職人さんに声をかけていただきました。図を見ながら組み立てれば良いと分かっていても、いつもと勝手が異なるため、やや戸惑い気味です。
吊戸棚の施工
まずは、設備機器との取り合いのない吊戸棚が設置されました。
吊戸棚の固定方法は、IKEAで確認した通りレールに金物を固定することによります。
この穴は、見上げた後目立たないように、プラスチックの目隠材で隠されます。
今回は改修工事のため、吊戸棚向かって右側に既存の梁が露出しています。あらかじめ発注しておいた面材を現場加工していただいたFIXの板で、取り合い部分をふさぎました。
ベースキャビネットの施工
設備機器と取り合いのあるシンクやIHクッキングヒーター用ベースキャビネットが設置される壁には、レール固定用の構造用合板が施工されています。
ベースキャビネットと巾木材との取り合いについては、いろいろと考えさせられました。
この写真は、ベースキャビネットを裏返して見たものです。白いプラスチック形状のものが巾木材で、底板に固定することで設置します。金属製の脚が設置されていて床の不陸に合わせて高さ調整が可能です。ここで巾木取り合い部分をよく見ると、キャビネット側面の板と底版には、1㎜程度の段差があることが分かります。
このギャップのまま巾木材を固定すると、段差のところに小さな隙間が発生します。IKEAの設計・組立の思想からは、特に考えるに及ばない段差なのでしょう。しかし日本の職人さんにとっては、この段差のことがとても気になります。厚さ1㎜程度の薄い板を追加して隙間を埋めたうえで巾木を施工することになりました。このような細かい心遣いには頭が下がります。
レール固定用構造用合板の上には、不燃化粧合板が貼られています。その上からレールを設置し、ベースキャビネットを固定していることが分かります。
垂直に設置される集成材との取り合いを考え、右端のベースキャビネットが設置されました。
次にその左隣のベースキャビネットが設置されました。
向かって写真左側の空隙には、後工事として食洗器が入る予定です。ベースキャビネットを設置する前に、設備配管の取り合いを十分抑えておくことが大切です。
なぜだか良くわからないのですが、食洗器の給排水を、隣のシンク用キャビネット側からひきまわして設置することになっていました。この点について、IKEAの店舗でも聞いてみたのですが、何故そのような仕様になっているか理由は分かりませんでした。IKEA本国スウェーデンでの施工状況を反映しているのだと思うのですが、日本語化されたマニュアルからは、「何故そのように施工するのか」について読み取ることができませんでした。
隣り合ったベースキャビネットが適切に固定されていることを確認してから、天板や陶磁器製シンクも設置されました。
IHクッキングヒーターも設置されました。今後、高齢化するお母さまがお住まいになるため、火事の心配がいらないIHクッキングヒーターは必需品です。清掃がしやすいガラス面が大きい商品を選択されました。水栓金具と同様に、IHクッキングヒーターなどの設備機器についても、選択肢が狭いことが、IKEAキッチンのやや難点です。
商品が届いてから、この状態に至るまで、およそ1週間程度です。途中何故だかよくわからないのですが、引き出し内部の金物が足りず、直接IKEAまで買いに行っていただくことがありました。完璧に確認し、発注することの難しさを感じました。
取り付け完了
ようやくIKEAキッチンの取り付けが完了しました。腰壁、水栓金具、排気ファンは、別途手配したものです。
リビングダイニングから眺めたキッチンです。食洗器も間に合って設置されました。正面中央下ベースキャビネット中央の隙間には、椅子やごみ箱を入れる予定になっています。
いくつか難しい点もありましたが、施工者の田井さんをはじめとした職人さんたちのご尽力によって、ようやく取り付けが完了しました。ありがとうございます。
また事務所メンバー萩原の1歳になる息子良介くんも参加してくれた現場や打合せの雰囲気は和やかなものになりました。
日本メーカーのキッチンとIKEAキッチンとの違い
まず大きな違いは、メーカー施工のあり方です。通常、日本メーカーの場合、現場の状況を見て寸法確認を行い、発注を行います。しかし、今回のように現地確認や組立業者を入れなかった場合、その責任は、元請施工者がとることになります。このように現場対応リスクをだれが引き受けるかに大きな違いがあります。
また日本メーカーの場合、キャビネットの箱としての組立は、現地で行いません。いったん箱として組み上げたものを現地に搬入するので、運賃は上がりますが、その分1日で据え付けることができます。
IKEAのキッチンは、部材ごとに箱詰めされて届きますが、物量が多くなると、現場ですべてを開封するわけにはいきません。どのように組み立てるか考えて箱を開ける必要があります。せめて全体を通してどのように組み合わせればよいか示す組立手順書があれば良いという職人さんのコメントがありました。
また、カウンターを別途注文すると、その分納期がかかります。短期間の改修プロジェクトの場合、着工前に発注する必要があります。その点からは、単純なキッチンの場合はメリットが高いが、複雑で特注個所の多いキッチンの場合、施工の工程もよく考えて、入念に準備したうえで発注する必要がありそうです。
おそらくもっとも大きな違いは、IKEAのキッチンでは担当者制でないところです。電話で担当者の方に直接連絡を取ることができず、IKEAの代表番号かメールアドレスに連絡しなければなりません。個別対応をやめて情報を一括管理することとし、メールや電話で直接対応できない方針であるところに、日本のメーカーとの大きな違いを感じました。
IKEAキッチンの特徴
ここで再度、IKEAに組立業者ごと発注しない場合のIKEAキッチンの特徴をメリットとデメリットの点から整理したいと思います。
メリット
・材料費と工費が明瞭
・店舗で確認することができる
・比較的安価
・パーツが壊れても補充可能デメリット
・大工さんだと組立が難しい
・担当者に直接連絡が取れない
・微細な変更があるたびに、IKEAに行かなくてはならない。
最後に
IKEAのキッチンは、DIY施工される方や、理解のある元請施工者とのプロジェクトの場合、採用する価値はあると思います。ただし、複雑な形状や組み合わせのキッチンを考えられている場合は、前もって取り合いを含めた詳細な設計図書を作成した上で、かなりの調整を前もって行わないと、工期に間に合わない状況が発生するでしょう。プロジェクトの特徴に合わせて採用する必要がありそうです。
今後IKEAを通じて、運送や組立を依頼しようと考えている方も、全てお任せではなく、今まで述べたようなメリットやデメリットがあることを十分に理解したうえで、ご自身のプロジェクトを進めていただきたいと思っています。ご納得の上進めるのであれば、試す価値は十分にあると考えています。特に、自分の望むほしいサービスを組み合わせて依頼することが可能なので、ニーズに合わせて発注することができます。
以前のブログにも書きましたが、IKEAのキッチンは、自分で組み合わせたい人には適しているといえるでしょう。価格も手ごろですし。そうした希望がある人には、とても良いキッチンと言えます。ただ、全てお任せしたい人にとっては、一般的なシステムキッチンの方がよいかもしれません。積極的にエネルギーや時間をかける必要があります。また細かいこだわりがあり、世界で自分だけのキッチンを一から作りたい人は、特注の造作キッチンとして作ることが適切です。つまり、こだわり具合から順番に並べると、
既成のシステムキッチン < 半特注のIKEAのキッチン < 特注の造作キッチン
と言えるのではないでしょうか。まだの方は、IKEAのキッチンのメリットとデメリットについても是非読んでみてください。モジュール化という視点から書いています。
また、本場スウェーデンのIKEAの動向について気になる方は、本場北欧スウェーデンのIKEAにキッチンを見に行って、日本との文化やテイストの違いを確認してみた も併せてごらんください。
北欧デザインが好きな方、アルヴァ・アールトはご存じでしょうか?現在の北欧デザインに大きな影響を与えた建築家です。北欧フィンランドの巨匠アルヴァ・アールトの建物めぐりヘルシンキ編 [動画/360°写真あり] を旅行気分でどうぞ。