小池知事「知事の部屋」/記者会見(令和4年4月22日)

小池知事は先日(2022年4月22日)、都内の新築住宅における、太陽光パネルの設置義務化について発表しました。環境対策に関心の高い小池都知事ですが、ここまで踏み込んだ提言をされることに、ちょっとびっくりしました。後述しますが、個人的にはこの義務化にはあまり賛同していません。今回のブログには、太陽光パネル全般について気になって調べてみたことを書いてみました。

  1. 東京都、太陽光パネルの設置義務化を発表
  2. 太陽光パネルの設置義務化に関する海外の動き
  3. 導入する前に住まい手として確認するべきこと
  4. 太陽光発電の導入方法について
  5. 実際にどんなメーカーの商品があるのか
  6. 販売・施工業者は?
  7. 調査を終えて

1.東京都、太陽光パネルの設置義務化を発表

東京都の小池百合子知事は22日の定例記者会見で、一定の新築建物に、太陽光パネルの設置を義務化する新制度を構築する方針を明らかにした。建物の施主や購入者ではなく、住宅メーカーなど事業者側に課す方向で検討を進めており、脱炭素に向け関係条例の改正を目指す。(Yahoo!ニュースより

太陽光発電とは 東京都環境局ウェブサイトより

 

]太陽光パネル設置義務化の背景として、都ではもともと「ゼロエミッション東京戦略」を掲げていました。この計画では、

2030年までに二酸化炭素排出量を2000年比で50%削減(カーボンハーフ)、2050年までに二酸化炭素排出量の実質ゼロ(カーボンニュートラル、脱炭素社会)を目指す

としています。(東京都環境局ウェブサイトより

二酸化炭素排出量の削減には、二酸化炭素排出の主たる原因となっている化石燃料起源のエネルギー消費量を減らし、再生可能エネルギーによるエネルギー供給量を増やすという対策が必要であると考えられています。都は、

都内の住宅で、太陽光パネルの設置ポテンシャルのある全ての屋根に載せた場合、都内の全電力消費量の約13%(家庭分野では約41%)に相当する発電量がある

としています。(ゼロエミッション東京戦略2020 Update & Report、p.56より

実際に、東京都の二酸化炭素排出量(2019年度)をみてみると、電力が65.5%を占め、電力のうち再生可能エネルギー源のものは17.3%にとどまっています。たしかに、電力利用における再生可能エネルギー源の割合が増えれば、二酸化炭素排出量の削減に貢献できそうです。

東京都の二酸化炭素排出量の内訳 (東京都の温室効果ガス排出量 2019年度速報値、p.3より)

こうしたカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みの推進は、地球規模で必須となっています。気候変動を伴う地球温暖化を背景に、2015年のパリ協定では、世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求することが示されました。また、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が2018年に発表した推計によると、2100年までに地球平均気温の上昇を1.5℃に抑えれば、気候変動が招く被害を緩和することができ、そのためには地球全体の二酸化炭素排出量を2030年までに45%削減し、2050年までに実質排出量ゼロに到達する必要があるとしています。都のゼロエミッション戦略もこれらに倣った目標と言えます。

JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター ウェブサイトより

2.太陽光パネルの設置義務化に関する海外の動き

海外での新築住宅における太陽光パネルの設置義務は、米国カリフォルニア州で2020年から、ドイツのバーデン・ビュルテンベルク州で2021年から始まっています。ドイツの各州政府は、2021年8月に連邦政府で可決された太陽光発電システムの設置義務の法律を受け、条例の制定を進めています。シュトゥットガルトが位置するバーデン・ビュルテンベルク州では、今年2022年1月から、建築許可する建築物に太陽光発電システムの設置が義務付けられました。さらに、2022年5月1日から新築住宅の屋根にソーラーシステムの設置が義務付けられ、2023年1月から既存の建物の屋根の改修にも適用されるそうです。(土地総研リサーチ・メモ「ドイツにおける太陽光発電装置設置の義務化に向けた動向」, pp.1-6より

環境意識の高い国や地域においては既に「義務化」されていると想像していたのですが、実は社会的合意形成に、それなりに時間がかかっている印象です。

Share of Electricity Generation from Variable Renewable Energy Top Countries, 2020 (Renewables 2021 Global Status Report、pp.199より)

図は、全発電量に対する、太陽光発電と風力発電による再生可能エネルギー発電割合が高い国を示したものです。再生可能エネルギー先進国と言われている世界第4位のドイツは、上記に加え、バイオマス発電と水力発電を合わせた再生可能エネルギーの発電量が、2020年時点で全発電量の50%となっているそうです。ちなみにドイツでは、2021年は風力発電による発電量が減少し、二酸化炭素排出量が増加しました。(ソーラージャーナルウェブサイトより)

Details of the Sunship in green City, Freiburg.

太陽光パネルの設置義務は、再生可能エネルギー先進国のドイツで今始まったところと言えることが分かりました。一方で、ウクライナ情勢を受けてEUをはじめとした欧米諸国が、エネルギー政策に関する大転換を迫られています。ドイツでは、ロシア産エネルギーの代替が進んでいます。

石油については、2021年はドイツ国内での消費量のうち約35%をロシアからの輸入に頼っていた。ロシアとの既存契約は更新せず、調達先を変更することで、ロシアへの依存度を2022年末までにはほぼ0%とすることを目指す。
石炭については、ドイツ国内での消費量のうち約半分をロシアから輸入している。火力発電所や鉄鋼業界において使用する石炭の他国産への切り替えを進めており、2022年の秋までにロシアへの依存度を0%にすることが可能だという。
天然ガスについては、(中略)2022年末までに天然ガスの消費量に占めるロシア産の割合を30%までに、エネルギー源の多様化、水素や再生可能エネルギーの拡大により、2024年の夏までに10%までに削減が可能と見込む。(エネルギー安全保障の進捗報告書を発表、ロシア産エネルギーの代替が進む:JETROウェブサイトより)

今後エネルギー価格の高騰が、経済活動になんらかの悪影響をおよぼすことが予想される中で、ドイツがどこまで環境配慮型政策をすみやかに前進させることができるのか、注視していく必要があります。ドイツ経済政策の専門家ではないので確かなことは言えないのですが、脱天然ガス・脱石油・脱石炭を前提に環境配慮型政策が急激に前進する可能性とともに、燃料価格高騰とウクライナ情勢に端を発する政情不安によりドイツ経済が弱体化するためコストのかかる環境配慮型政策が後退する可能性のどちらもあるのではないかと考えています。

さらに再生可能エネルギーは、天候によって左右されるので、太陽光発電や風力発電のみに依存することは不可能です。エネルギーの安定供給のためには、既存の発電設備が必須であることは忘れてはいけません。国が適切にエネルギー政策を決定したうえで、われわれ一般消費者はその範囲内で最大限可能な取り組みを行うことになるのでしょう。

3.導入する前に住まい手として確認するべきこと

太陽光パネルを設置するに当たっての検討事項をまとめてみました。初期投資価格や、買取制度の売電価格など、導入が本格化した10年程前と現在とでは大きく状況が変わっています。以下の点をチェックする必要がありそうです。

1)費用対効果について
まず太陽光パネルについて、導入に向けた歴史的経緯と、FIT制度とFIP制度という2つの制度について理解することが必要です。

売電価格に「プレミアム」を上乗せするFIP制度 経済産業省ウェブサイトより

太陽光パネルの設置は、発電した余剰電力を10年間は固定価格で買い取ってもらえる、FIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)によって2009年以降に普及し始めました。(再生可能エネルギー固定価格買取制度ガイドブック2022年度版より)

再生可能エネルギー(再エネ)は、2012年に「固定価格買取(FIT)制度」が導入されてから、加速度的に導入が進んでいます。この先、日本が目指す「2050年カーボンニュートラル」に向けては、再エネ最優先の原則で導入拡大し、再エネを主力電源としていくことが必要です。そのための新たな方策のひとつとして、2020年6月「FIP制度」の導入が決まり、2022年4月からスタートします。

2012年、まだそれほど普及していなかった再エネの導入をうながすために、「FIT制度」がもうけられました。これは、再エネ発電をおこなう事業者を増やし、再エネの導入を拡大することを目的に、再エネ設備から発電された電気(再エネ電気)をあらかじめ決められた価格で買い取るよう、電力会社に義務付けた制度です。こうした支援のもとで、再エネは急速に拡大しました。

しかし、FIT制度導入によりさまざまな課題も出てきました。ひとつは電気をご利用の国民(需要家)のみなさんに負担いただく「賦課金」です。電力会社が再エネ電気を買い取ったコストの一部は、電気料金に上乗せされるかたちで国民のみなさんが負担しており、2021年度の見込みでは総額2.7兆円におよんでいます。
また、FIT制度は、電気の使用者のニーズや競争によって価格が決まる電力市場からは切り離された制度であり、再エネ発電事業者はいつ発電しても同じ金額で買い取ってもらえるため、電気の需要と供給のバランスを意識する必要はありませんでした。

そこで2020年 6月、再エネを電力市場へ統合するにあたっての段階的な措置として、電力市場の価格と連動した発電をうながす「FIP制度」を導入することが決まりました。売電価格に「プレミアム」を上乗せするFIP制度FIP制度とは「フィードインプレミアム(Feed-in Premium)」の略称で、再エネの導入が進む欧州などでは、すでに取り入れられている制度です。この制度では、FIT制度のように固定価格で買い取るのではなく、再エネ発電事業者が卸市場などで売電したとき、その売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せすることで再エネ導入を促進します。(再エネを日本の主力エネルギーに!「FIP制度」が2022年4月スタート 経済産業省ウェブサイトより抜粋)

2019年に固定価格買取制度の買取期間が終わる終わることに伴い、国は買取制度を停止している思われがちですが、固定価格買取制度自体が2019年に終了するわけではないようです。出力50kW未満の産業用太陽光発電や10kW未満の住宅用太陽光発電は、2022年4月以降もFIT制度のみ適用されるようですのでご注意を。

近年はこの買取価格の下落が指摘されていますが、同時に初期費用も下落傾向にあり、

投資回収率が下がっているとは言い切れないとも言われています。(高性能な家づくりチャンネルより)

いくつかのウェブサイトを閲覧しましたが、初期費用の回収に要する期間は6~8年程度と記載しているものが多い印象です。固定価格買取制度の10年間に収まるように設計されているといえるでしょう。以下、詳細は割愛いたしますが、経済産業省の資料によると、内部収益率3.2%を維持するようにFIT制度は設計されているようです。

経済産業省ウェブサイトより

なお、導入時の費用はおおよそ以下となります。

  • 設置費用(機器、屋根工事、電気工事)
  • 定期点検費用(4年に1回程度、FIT制度により義務化)
  • メンテナンス費用
  • パワーコンディショナー交換費用(電力の変換機器を10~15年に1度交換)

また、初期費用(設置費用)に関する国の補助金は2013年度までに終了しています。国以外にも自治体で補助金を設けている場合があります。設置をご検討の方は、ぜひ各自治体のホームページを調べてみてください。例えば、東京都港区では「太陽光発電システム設置費助成」を設け、新たに太陽光発電システムを設置する区民に対して補助金を交付しています。(港区ウェブサイトより)

太陽光パネルの稼働期間は20~30年とされ、発電効率は徐々に下がるといわれています。寿命が来れば新しいパネルのみならず制御装置までも交換する必要があるでしょう。一方で、電気料金は今後高騰の一途をたどるかもしれません。近年は、太陽光パネルの廃棄方法についても問題となっている一方で、今後の技術で解決可能とする見解も見られるようになりました。設置状況による違いも大きく不確定要素が多すぎるため断言することは難しいですが、現段階で採算性を確保することは難しい印象です。太陽光パネル設備の低価格化とともに、電気料金の高騰が重なると、太陽光パネル設置も一層進むと思われますが、今後の動向に注視する必要があります。

2)停電・災害時の電源になる
停電・災害時の電源として利用できることは、意外と見落都市がちです。平常時は電力会社とつながる「連系運転モード」で稼動させつつ、停電・災害時には「自立運転モード」に切り替えることで、停電・災害時にも電気を使うことができます。(ゼロエミッション東京戦略2020 Update & Reportより)

3)災害時の感電、損傷のリスクを把握する

水没浸水時の注意事項 太陽光発電協会ウェブサイトより

ただ、太陽光発電システムに損傷を与えるほどの災害であれば、使用できなくなる可能性があります。水害時であれば感電のリスクを把握する必要があります。(詳しくは、太陽光発電協会ウェブサイト参照)。熊本地震のような巨大地震ではパネルの脱落も確認されました(日経クロステックより)が、メーカーごとに設置基準が設けられているようです。

太陽光パネルは、風で飛ばされることはないのかという心配の声もあります。地震と同様に、メーカーごとに風圧試験を実施しているそうです。同時に、飛来物によるパネルの損傷リスクもあります。メーカーごとに補償の有無に違いがあるので、確認しておく必要があります。

4)火災のリスクを把握する
太陽光パネルの設置による火災のリスクについて、一定のリスクは把握しておく必要がありそうです。出火原因なかには、小動物がケーブルをかじった例もあるようですが、基本的には設置方法により、リスクは異なるそうです。(消費者庁ウェブサイトより)
また関連する問題として、火災時の消火活動にも影響があるという情報も散見されます。総務省消費者庁によると、太陽光パネルを設置した住宅においても他の火災と同様に放水による消火活動は実施されているようです。ただし、現場の消防隊員は感電に警戒する必要があるとも言われています(毎日新聞ウェブサイトより)。

5)設置方法、雨漏りのリスクを確認する
新築時の設置、後付けのどちらにおいても、屋根に穴をあける場合は雨漏りのリスクがあるのではと考えてしまいます。基本的には、正しい施工を行えば雨漏りの心配はいらないそうです。
設置方法として、屋根の上に設置する据え置き型、パネル自体を屋根材とする屋根一体型があります。据え置き型の場合、スレート屋根、瓦屋根、陸屋根であるかによって施工方法が変わります。10種類の施工方法が紹介されているサイトもありました(池戸電気株式会社ウェブサイトより)。
また、据え置き型の場合、屋根のメンテナンス時にパネルの一時的な取り外しが必要であることを確認する必要があります。

4.太陽光発電の導入方法について

1)新築・改修時の設置、既存の屋根に後付けの特徴

新築時の設置:設計の優先順位を考える
今後太陽光パネルの設置が義務化されていく方向ではありますが、住宅の気密性、断熱性能を犠牲にして、太陽光パネルの設置を優先する必要はないでしょう。また、発電量を踏まえて屋根の形状を決められることはメリットと考えられますが、それによってデザインを大きく制限される場合はデメリットと捉えることもできます。優先順位を考えて設計を進める必要があるでしょう。

改修時の設置:自ら販売・施工業者を選定しなくて良いので、新築同様の安心感がある
新築時に比べ、屋根形状の自由度はないですが、新築時同様に、ハウスメーカー、設計事務所、工務店を通じて発注する安心感があります。
既存の屋根に後付け:据え置き型のみの選択となる
既存の屋根に設置する場合、先程触れた据え置き型・屋根一体型のうち、据え置き型のみの選択となります。また、訪問販売等を通じて信頼して良いかわからない業者と契約してしまう可能性にも注意する必要があるでしょう。

2)発注方法
新築時や改修時であれば、設計担当者(ハウスメーカー、設計事務所、工務店)に依頼すると良いと考えます。デザインとの調和も考慮した太陽光パネルの設置方法を検討し、メーカー、販売・施工業者を選定していきます。
後付けの場合は、見積りサイトなどを通じて、自ら販売・施工業者を選定する方法もありますが、建築時のハウスメーカー、設計事務所、工務店に相談すれば、設置方法を検討してもらえたり、販売・施工業者を紹介してもらえたりする可能性があります。太陽光発電システムは設置後のメンテナンスが欠かせません。自ら見積りをとる場合は、アフターサービスが充実している販売・施工業者であるか確認する必要があります。
実際のところ、設計者においても、太陽光パネルの設置に関する知識はまだまだ不足している場合があります。下請け業者が対応するだけになっていないかの確認は必要かもしれません。

5.実際にどんなメーカーの商品があるのか

ここでは多くのウェブサイトで紹介されていた国内主要メーカー等を調査しそれらの要点をまとめました。掲載時点までの調査内容のため、最新情報は各リンクからご確認ください。

今回問い合わせたメーカーのうち、施主/設計者からの見積り依頼に対応してくれるかどうかにはメーカーごとに違いがあります。全国に提携する販売・施工業者が全国各地に立地するメーカーは、これらの販売・施工業者を通じて太陽光発電システムを導入することが可能になります。施工後のメンテナンスも、提携する業者によって実施されるようになっています。
施主/設計者どちらも複数メーカーの見積り依頼をすると良いでしょう。
また、今回調査した範囲では太陽光発電システムの見積りは、材料費、工事費は別々に扱われている事例が大半です。

1)シャープ
 モジュール出力保証:20年(無償)
 機器保証:10年(無償)、15年(有償)
 設置方法:据え置き型(詳しくはこちら
 メーカー経由の見積り:ウェブサイト上で見積りの申込みができる(詳しくはこちらこちら
 販売エリア:全国(詳しくはこちら

2)パナソニック
 モジュール出力保証:25年(無償)
 機器保証:15年(無償)
 設置方法:据え置き型(詳しくはこちら
 メーカー経由の見積り:メールでの相談から販売・施工業者を紹介してくれる(詳しくはこちらこちら)。設計者は別途最寄りの営業所から依頼するようです。
 販売エリア:全国

3)京セラ
 モジュール出力保証:20年(無償)
 機器保証:10年(無償)
 設置方法:据え置き型(詳しくはこちら
 メーカー経由の見積り:全国のFC店を経由して依頼する(詳しくはこちら
 販売エリア:全国にFC店を持つ(詳しくはこちら

4)ソーラーフロンティア
 モジュール出力保証:20年(無償)
 機器保証:10年(無償)、15(有償)
 設置方法:据え置き型(詳しくはこちら
 メーカー経由の見積り:施主・設計者ともに取扱店に直接依頼するか、本社から取扱店を提案してもらうこともできる
 販売エリア:北海道から沖縄県まで全国の販売店と提携している(詳しくはこちら

5)タニタハウジングウェア
 モジュール出力保証:25年(無償)
 機器保証:10年(無償)
 設置方法:屋根一体型(詳しくはこちら)
 メーカー経由の見積り:屋根材として販売され、設計者から図面を送れる場合のみ見積りが可能である(詳しくはこちら
 販売エリア:調査中

ちなみに、三菱電機は2020年3月、東芝は2021年3月にてそれぞれ住宅用の太陽光発電システムの販売を終了しているようでした。

2012年7月に固定価格買取制度(FIT)がスタートした当初、国内の太陽光パネルメーカーの中では最もコスト競争力があり、金融機関による国産品指定の傾向もあり、多くのメガソーラー(大規模太陽光発電所)に採用された。だが、2016年頃から、中国メーカーによるパネル価格の低下が一段と進み、急速に収益が悪化した。2016年12月期連結決算において固定資産の減損損失(特別損失)を107億円計上した。(メガソーラービジネス: ソーラーフロンティア、太陽光パネル生産から撤退、OEMに切替 より)

太陽光パネルを継続的維持管理し、適宜更新するためには、各メーカーの存続が必須となります。今後、新たな企業が参入してくるのか、さらに企業が撤退していくのか、注意が必要です。

6.販売・施工業者は?

上記のように、メーカーを経由することで現地の販売・施工業者、FC店を紹介してもらうことができます。逆に、複数のメーカーを取り扱う販売・施工業者から、太陽光発電システムの導入を検討することもできます。複数のメーカーの商品を比較しながら、導入を検討することができます。

施主/設計者ともに、複数の販売・施工業者に見積り依頼し、比較するほうが良いでしょう。一般消費者の施主の方々は、複数業者からの見積りを得られる見積りサイトの活用も考えられます。ここでは、販売・施工業者の状況をお知らせしたいと思います。

ここでは多くのウェブサイトで紹介されていた数社の状況を記載します。どこまで信頼できる業者さんなのかウェブサイト上では良く分からなかったので、具体的な会社名は伏せています。おおよそ似たようなサービスを提供しているようです。

1)A社
 取り扱いメーカー:シャープ、パナソニック、京セラ、ソーラーフロンティア等
 カバーエリア:北海道~九州まで全国10拠点以上
 施主/設計者からの見積り:設計者からの見積りについては調査中
 保証・補償:施工保証10年
 施工後のメンテナンス:有り

2)B社
 取り扱いメーカー:ウェブサイト上はNEXT SOLARの紹介であるが、複数メーカーの取り扱いがあることを確認した
 カバーエリア:東北・関東・中部・中国・近畿・九州
 施主/設計者からの見積り:可能
 保証・補償:自然災害補償10年
 施工後のメンテナンス:有り

3)C社
 取り扱いメーカー:シャープ、パナソニック、京セラ、ソーラーフロンティア等
 カバーエリア:関東・中部・中国・近畿・九州
 施主/設計者からの見積り:施主からのみ可能であるため、後付けとなる
 保証・補償:調査中
 施工後のメンテナンス:有り

7.調査を終えて

今回は、太陽光パネルの設置に当たっての注意点や、導入方法を調査しました。今後、設置義務化に向かう可能性が高そうですが、一時的に住まうための改修など、長く住み続けない建物にコストはかけない方が賢い場合も多々あります。十分な検討をした上で設置を進めることが必要です。

経済産業省ウェブサイトより

個人的には、今回の小池都知事の提言は、すこし行き過ぎなのではないかと考えています。真剣に省エネに取り組むのであれば、新築住宅に太陽光パネルを設置して発電を促すことよりも、さらなる高断熱化を推進して電力消費を低下させることの方が、費用対効果や快適な住空間の提供からも有意義なのではないでしょうか。太陽光パネルのような「分かりやすい」環境配慮型設備機器に頼りすぎることなく、断熱性能や耐久性の高い住宅ストックを増やしていく方が、一般個人にとっても社会にとっても大切な気がするのは私だけでしょうか?

施主として後付けされる際は、訪問販売などにご注意を。複数社の見積りを得られるサイト、新築時のハウスメーカー、工務店、設計事務所などに相談することが大切です。今回調べた範囲はほんの一握りであり、新たな情報を今後も追記していきたいと思います。