保護中: Building Renovation in Ikenohata
池之端のビル改修

近隣地域でビジネスを営むオーナーのオフィス兼自宅のリノベーション。
動物園が目の前という、ほかに類を見ない緑豊かな立地。
リビングの窓からは、シロクマやアシカの水槽が見え、朝や夜には動物たちの鳴き声が聞こえてきます。

麻布永坂のマンション改修をご覧になられたオーナーから、ビル改装の依頼を承りました。

1,2,3階の社用スペース(応接/オフィス)、そして4,5階がオーナーのプライベートエリアという、異なる機能をあわせもつビルです。

仕事と生活(住宅)、それぞれの領域との境界を融合させながら、より執務に集中しやすい環境を、設備を刷新しながら引き出すプロジェクトとして捉え、設計にあたりました。

改装にあたっての5つのポイント その1

窓からの眺望をさらに楽しめる工夫:故郷の文化に対する思いや親しみを活かす小上がり

「東側の窓からの動物園の緑や、朝日の昇っていくさまを眺めるのが至福の時」とおっしゃる施主の要望により、その眺望を生かしながら十二分に楽しめるようなしつらえを検討し、床暖房のある小上がりを作りました。目線が変わることによって、眺めも変わり、1日の中で居心地のよい場所も変わってくることを踏まえています。

打合せをすすめていく中で、韓国から結婚を機に来日された施主の故郷に対する思いを伺い、建築によってそれらをあらわすことを目指しました。床暖房の上にじかに座る、あたかもオンドルのような温かい空間を、リビングに併設した小上がり空間として実現しました。ダイニングテーブルの椅子に座る人と、小上がりの上に床座する人が同じ目線で会話をすることができます。外国から日本にきて長く住まわれる方には、ふるさとへの思いがあることを、自分自身の経験から実感しています。なつかしさとともに安らげるような空間になるように、大切に設計しました。

改装にあたっての5つのポイント その2

断熱機能の向上・刷新

最も熱負荷の高い屋根には20mm程度の断熱材しか設置されていませんでした。また外壁には断熱材が入っていなかったため温熱環境が非常に厳しいことが窺われました。そのため、屋根にはさらに50mmを追加し合計70mm厚の断熱材としました。それまでゼロだった壁には30mmの断熱材を敷設しました。また、寝室他の窓のガラスを断熱性能の高いガラスに入れ替えることによって、建具からの熱損失を下げるように試みました。夏期冬期ともに以前より快適な熱環境を実現できるようになりました。

改装にあたっての5つのポイント その3

通風の改善:吹き抜け階段を減築によって作り出す

4階から5階へ上がる階段を吹き抜け階段にすることで減築し、リビングの大きな窓からの通風が5階の天窓へと自然に抜けていくように改めました。

改装にあたっての5つのポイント その4

IKEAキッチンの採用:当事務所初の事例・既製品とフルカスタムメイドのいいとこ取り

当社初の採用事例となりました。IKEAキッチンの特色は、既製品とフルカスタムメイドの中間という点に集約されるといっても過言ではありません。施主の具体的なご要望を伺いながら、またショールームで現物を見ながら打合せを重ね、施工者の協力も仰ぎながら納入に至りました(IKEAキッチンについて、詳しく知りたい方はblog 前編後編)もぜひご一読下さい)。

改装にあたっての5つのポイント その5
グループ会社内の本社機能とオーナーの暮らしの融合

会社への近居、というテーマを掲げつつ、店舗からすこし離れた静かな環境に本社中枢機能を戻すという組織としての決断がありました。賑わいのあるエリアとは異なる趣のある、緑と自然に囲まれた明るいオフィス環境は、グループ企業内の多職種・部署間ミーティングなどで集中できる静かな環境を整備することは、オーナーのみならず働く人々にとっても、必要なものであるという判断に基づき改修が進んでいきました。

プロジェクトを終えて

建物そのものの機能を更新することや、素材や形態に対して検討を重ね、最善のハードを実現するのが我々の役目です。しかしながら、本プロジェクトでは、故国への思いを表現することや、社史やオーナーのにとって大切な建物であることを踏まえ、より快適に・長く使い続けられるようになるか、という思いの実現にも重きがおかれました。ソフトの実現のためにハードがあると、改めて考えさせられたプロジェクトとなりました。